ホスピタリティの仕組み

総務省「労働力調査」によると、平成22年に「サービス」と名のつく仕事(宿泊、飲食、生活関連など)に就いている人口は総労働人口の21.2%。これには小売業、福祉業、金融、不動産などの接客業の人口は含まれていないので、相当数の人がサービスの仕事に従事していると考えられます。

 

訪日外国人観光客の激増は言うまでもなく、国内の観光客も増加しており、日本のサービス産業では「ホスピタリティ」の向上は差別化要因であるどころか、競合に差別化されないための必須の行動や考え方となっています。「人財開発課」のように部署を新設・刷新してホスピタリティを強化しようとしている企業も多いようです。

 

この夏シンガポールを訪問したのですが、帰国時にチャンギ空港で免税手続きを行いました。他国で面倒な手続きを経験したこともあり、少し憂鬱な気分で免税カウンターに行きました。結論から言うと2分で手続きは完了しました。カウンターにはeTRS-KIOSKという機械が数台並んでおり、以下の手順で入力します。

①最初に言語を選ぶ
②免税の案内を承認する
③パスポートを読み取らせる
④買物レシートのバーコードを読み取らせる
⑤クレジットか現金を選択する

以上で終了。数名のアシスタントが機械に弱い人をサポートしていました。

 

8/28付の日本経済新聞朝刊には、同様のシステムを日本も2020年には導入する計画であると掲載されていました。少し逸れたのですが、お伝えしたいことは私の満足度が非常に高かったことです。「拙い英語が通じたらいいな」「15分程度で終わったらいいな」という期待値であった私にとって、2分で手続きが終了したのですから大満足だったのは当然のことです。

 

ホスピタリティとは狭義においては「人が人に対して行なういわゆる『おもてなし』の行動や考え方」をいうようですが、「人と人、人とモノ、人と社会、人と自然などの関わりにおいて具現化されるもの」(日本ホスピタリティ推進協会)と定義されています。

 

サービスに携わる多くの人が、人に対して行う『おもてなし』を磨くのは重要なのですが、それだけに終始するのではなく、モノや仕組みが人に対して行う『おもてなし』を磨いていくことが、今後のホスピタリティの差別化要因となっていく気がします。

 

この免税の機械のようなものを皆さんの施設に導入することをお勧めしているのではなく、皆さんの身近にあるモノ、仕組み、システムなどがお客様にとってのホスピタリティ向上にならないか頭をひねる必要もあるということです。タクシーの自動ドア開閉、回転寿司、駅の自動改札など、関西で発祥したことはご存知でしょうか。それまでの常識をひっくり返すようなもの、仕組み、システムですよね。ホテルでの自動チェックインやスーパーでの自動精算などもここ数年で浸透してきました。また「人と人」の触れ合いを自らの強みとして大切にしておられる施設もあります。

 

お客様に対する一つひとつの行動や考え方に意味を持つことが必要な、新しいサービス時代に突入しています。

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